問題 <H30年問5>
図のように、線間電圧 V [V] の三相交流電源から、Y結線の抵抗負荷と Δ結線の抵抗負荷に電力を供給している電路がある。図中の抵抗 R がすべて R [Ω] であるとき、図中の電路の線電流 I [A] を示す式は。
— 答え —
(正しい式は解説に示す)
【出典:平成30年度第一種電気工事士筆記試験問5】
解法と解説
方針
負荷がすべて抵抗なので、それほど難しい問題ではないのだが、解法を理解するまでには時間がかかる。だから電工1筆記試験では後回し。
ただし、電験3では、三相電源のスター、デルタ負荷の問題は避けて通っていると理論に合格するのが難しくなるので、電工1に合格したら、解法習得を励むように。
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動画解説
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解法
2つの負荷は並列接続だから、それぞれの負荷について線電流を求め、それを足し合わせる。
Y結線負荷
Δ結線負荷
2つの電流を足し合わせるとき、回路にコイル、コンデンサが含まれる場合には、電圧-電流、電流-電流の間にはインピーダンスに応じた位相差が生じる場合がある。このときはベクトルとして足し合わせなければならない。
しかし、この問題の回路は抵抗しか含まないので位相差は一定。したがって、電流を足し合わせるときは、少し注意して加算するだけでよい。
求める線電流 I [A] は
Y結線負荷
スター結線 (Y結線) なので、1相にかかる電圧はV / √3 [V]。
線電流は
Δ結線負荷
(Δ結線負荷の再掲)
Δ結線では、1相にかかる電圧は線間電圧と同じ V [V] なので、1相に流れる電流は
図に示したように、線電流 I Δ は 2つの相電流 I Δ1、I Δ2 を含み、その大きさは相電流の √3 倍になる。
したがって、
足し合わせ
以上から、求める線電流 I [A] は
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まとめ
三相交流回路は、珍しいタイプの問題であっても解法は王道で。
- Y結線、Δ結線の1相を取り出す
- 単相交流回路の電流を求める
- 回路全体に直す
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