問題 <H30年問18>
ディーゼル機関のはずみ車(フライホイール)の目的として、正しいものは。
<解答の選択肢>
- 停止を容易にする
- 冷却効果を良くする
- 始動を容易にする
- 回転のむらを滑らかにする
— 答え —
ディーゼル発電に用いられるはずみ車(フライホイール)の役割は、4の回転のむらを滑らかにするである。
【出典:平成30年度第一種電気工事士筆記試験問18】
<ディーゼル発電の問題を繰返し練習したいあなたには>
・H25年問18(ディーゼル発電の特徴)
・R3年午後-問19(ディーゼル発電)
解法と解説
方針
暗記問題なので、サクッと得点したい。
だが、忘れてしまっても、円盤を回すことを想像すると、類推でも正解を導きだせる。
ふくラボ流攻略法
発電機は、モータの回転速度で周波数が決まる。だから、回転数が一定(均一)でないとやばい。
ただ、以下に説明するエンジンの仕組みから、回転には微妙にムラができる。
エンジンは、マツダのロータリーエンジンを除けば、ピストンの上下運動をクランクシャフトの回転力に変換する。(この回転でモータを回す)
で、ディーゼルエンジンで押さえておきたいのが、4サイクルエンジンの4つの工程。
- 空気を吸い込む吸気
- 空気を圧縮して温度&圧力を上げる圧縮
- 高温圧縮空気に燃料(軽油)を噴射して着火させる燃焼
- 燃焼したガスを外に吐き出す排気
この4サイクルのうち、3の燃焼は(すんごい)圧縮された高温圧縮空気と燃料が(爆発的に)燃えて膨張するので、ピストンをぐわっと押して、クランクシャフトもグルっと回る。
一方、その他の吸気、圧縮、排気時は、ピストンはそれまでの回転力を頼りに動く。
だから、燃焼行程だけは他の3工程より回転力が大きくなり、クランクシャフトの回転は滑らか(均一)にならない。
これは、周波数を一定に保ちたい発電機には致命的。
そこで、ディーゼルエンジンと発電機の間に円盤状の「フライホイール」を入れて、回転を均一化する。
この回転ムラをなくすのは、フライホイールの「慣性力」、つまり回っているときはずっと同じように回りつづけようとする力、を利用している。
補足1
このフライホイールの慣性力のおかげ(?)で、
1.始動は重たい(すぐには希望の回転数に達しない)し、
2.停止させようとしてもすぐには停止しない
補足2
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの大きな違いは、
1.吸い込む気体が、「空気のみ」か「空気+ガソリン」
2.点火法が「燃料を送りこむ」か「点火プラグで着火」
非常事態解答法
フライホイールという名の円盤が途中についているとどうなるか、を想像する。
停止状態から回すためには、円盤も一緒に回さないといけないので余分に力がかかる。反対に、回っている状態から回転を止めようとすると、ブレーキをたくさんかけなければならない。
そう考えると、1の「停止が容易」と、3の「始動を容易」は間違えているかも、と考える。
そして、もしもフライホイールが扇風機や車のラジエーターのように羽根車になっていればディーゼルエンジンの外側は冷やせるかもしれないが、エンジンで一番熱くなるシリンダー周辺は冷やすことはできない。
だから、2の「冷却効果を良くする」も怪しい。
というわけで、残るは4の「回転ムラを無くす」
まとめ
発電機は、モータの回転速度で周波数が決まる。だから、回転数が一定(均一)でないとやばい。
ディーゼル発電では、ディーゼルエンジンと発電機の間にフライホイールを取り付け、回転数を均一にする。
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