問題 <H30年問32>
③に示す VT に関する記述として、誤っているものは。
<解答の選択肢>
- VT には、定格負担(単位 [V・A]) があり、定格負担以下で使用する必要がある
- VT の定格二次電圧は 110 V である
- VT の電源側には、十分な定格遮断電流をもつ限流ヒューズを取り付ける
- 遮断機の操作電源の他、所内の照明電源としても使用することができる
— 答え —
VTの定格負担は 100 VA 程度。消費電力 (数十~100 W 程度)の照明器具を接続するのは危険。というわけで、誤っているのは4。
【出典:平成30年度第一種電気工事士筆記試験問32】
→ VT問題を今日マスターしたいあなたには
・H30年問44(VTの台数)
・H29年問22(VTの外観と用途)
・H27年問43(PFの役割)
解法と解説
方針
VTの問題としては稀な問題。このため、マスター必須項目を完了させてから、手を出すべし。
ただ、回路を設計するときに非常に役立つ知識なので、電験3種取得や回路設計の仕事も視野に入れているのなら、この問題を十分理解しておくと吉。
ふくラボ流攻略法
計器用変圧器 VT は、高電圧回路の電圧を計器や継電器に「扱い易い電圧(通常は110V)」に変換する。
— VTの仕様 —
ここで、富士電機テクニカのHPに掲載された VT の銘板を見てみよう(高電圧用の VT銘板は見つからなかったので、画像は低圧 220V用。あしからずご了承を)。
右側に書かれた文字を銘板右側に書き出してみた。上から順に
・SEC VOLT 110V :定格二次電圧 [V]
・BURDEN 50 VA:定格負担 [VA]
・FREQ 50・60 Hz:定格周波数 [Hz]
ここで注目してもらいたいのが赤字の BURDEN:定格負担 で、これは、
性能が保証できる範囲で、二次側端子間に接続できる負荷の容量
ちなみに BURDEN という英単語は「荷物、負担、積載量」という意味。そこから、VTの世界では定格負担という単語が
そして、その容量が 50 VA。
— 定格負担 50 VA —
容量 50 VA ということは、定格二次電圧が 110V だから、この VT から電流を安心・安全に取り出すには MAXで 0.5A弱が限界。
一方、所内用の照明器具の消費電力は、蛍光灯で 20W程度、電球だと 40-100W 程度。
50VA の場合、蛍光灯 2台まで、40W電球なら1器までなら大丈夫そうだが、これはあくまで全電力を照明に使った場合。
高圧受電設備の単線図を見ると、VT の下流には電圧計、電力計、力率計、運転確認用ランプなどがある。
計測器の入力インピーダンスは極めて高いから、流れ込む電流は微々たるものだが、ランプだと数十W はみといたほうがいい。
こんな感じだから、正規の使い方以外に、所内電灯の電源として使うには、容量が非常に心もとない。
というわけで、VTを所内の照明電源に使用することは不適切。
— その他重要事項 —
銘板にも記載されているように、
SEC VOLT : 110V (定格二次電圧 110V)
これもきちんと押さえておくべし。
まとめ
VTの問題としては稀な問題。このため、マスター必須項目を完了させてから、手を出すべし。
ただ、回路を設計するときに非常に役立つ知識なので、電験3種取得や回路設計の仕事も視野に入れているのなら、この問題を十分理解しておくと吉。
VT の重要な仕様は
・定格二次電圧 110V
・定格負担 100VA 程度
というわけで、VTを照明用電源に用いるのは不適。
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