電熱器の発熱量・熱効率に関する問題は 10年で 2回出題なので、合格必須項目というわけではない。
しかし、この記事では大変重要なことをお伝えする。それは、効率という考え方は、電動機の効率、発電効率など、電工1筆記試験でも何度も出てくる考え方。
だから、この記事では話題を電熱器に絞らず、電力(量)、効率も一緒に解説する。
繰り返し練習して、得意問題にしてしまおう!
- 電力と仕事
- 効率は(出力)/(入力)
- 1cal=4.18J
電熱器の計算問題の対策
- 電力と仕事
- 効率は(出力)/(入力)
- 1cal=4.18J
電力と仕事
今、抵抗(R[Ω])に、電圧V[V]、電流I[A]で t[s] 電流を流したとする。
このとき、抵抗で消費される電力 P[W] と、発熱量 Q[J] は
で、ここで重要なのは、この式は抵抗だけじゃなくて、電熱器でも電動機(モータ)でも、電気を流したときにはどの場面でも成り立つ、ということ。
これ、非常に重要。
電工1筆記試験では、理論・計算問題でときどきこの式を使う問題が出題されているので、覚えておいて損はない。
なお、もし問題文に「電熱器の定格出力 1[kW]」などと書かれていたら、計算なしで P=1[kW] とすればよい。
→ 過去問
・H27年問12(電熱器の発生熱量)
効率は(出力)/(入力)
次は効率の話。効率の原点ともいう式が、
この式を基本として、電熱器の効率、巻上機の効率、発電機出力の効率の式が出てくる。
効率の式を出す(マスター)するには、何が入力で、何が出力かを見極める必要がある。
例えば、電熱器で水を加熱する問題では、
・入力 ← (水を加熱するために)電熱器が発生した熱量
・出力 ← 水に到達して、水の加熱に使われた熱量
ここで、追加で理解して欲しいのは、電熱器のヒータで発生した熱の一部は、電熱器の筐体などにも必ず伝わって(筐体の温度上昇に使われて)、発生した全部の熱が水に達するわけじゃないので、η は 1未満。
他の例として、巻上機用電動機では、
(分子の「物体を巻上げるのに使った出力」は、9.8倍する理由などの説明が必要なので、ここでは割愛)
だから、効率に関する公式を覚えるときも、問題を解くときにも、
・なにが入力で、なにが出力か
・それぞれの値はいくつか
に分けて考える。これがあらゆる問題を解くときのコツ。
実際の問題(H21年問12改)
消費電力 1[kW] の電熱器を1時間使用したとき、10リットルの水の温度が 43[℃]上昇した。この電熱器の熱効率[%]は。
求め方(途中まで)
まず入力である電熱器の発生熱量。
1時間は 3600秒なので、P と QH の関係は、
次に出力である水を加熱するのに使われた熱量=水に到達した熱量。
水 10L は 10 kg なので、QWは
こうやって入力と出力の値を別々に求めてから、(出力)/(入力)を計算すれば効率が求まる。
逆に、効率が与えられて、出力を求めよ、といった問題のときには、元の式を
入力 × η = 出力
に書き換えてから、それぞれ代入していけばよい。
なお上の2つめの式は、単位を[cal]から[J]に変換している。これは次の項で説明しているので、そちらを読んで。
1cal=4.18J
すぐ上の文でも触れたが、カロリー calとジュール Jのお話(電工1筆記試験では水の温度上昇のときにしか出てこないのだが、おさらいと思って)。
まず、カロリー cal。
あなたも小学校のときに cal (カロリー) という単位を習ったと思う。もし忘れてた人は、お弁当やお菓子に「この食品は 435 kcal」 といった表示を見たことがないだろうか?あの cal である。
で、この 1 cal という奴は、水 1g を 1℃温度を上げるために必要な熱量、のこと(覚えてた?)。
一方、電気の分野で熱量を計算するときは、同じ熱量なのに ジュール J という単位を使う。ジュール発熱のジュールである。
cal も J も熱量を表す(一般にはエネルギーと呼ぶ)のだが、1[cal] と 1[J]は量が違う。
同じ量なのは、1[cal] = 4.18…[J] (計算問題では 1[cal] = 4.2[J] で計算しても間違ったことにはならないので、4.2で覚えている人はそのまま 4.2 を使えばいい)
これを忘れないように単位変換してあげないといけない。単位変換するには、 cal に 4.18… を掛ければ J になる。
なので、上の式をもう一度書くと、
2番目の式で、cal → J へと熱量を変換している。
→ 過去問
・H21年問12(電熱器の熱量と効率)
まとめ
電熱器に限らず、電動機や水力発電で出てくる効率に関する問題は、一緒に理解すると吉。
重要ポイントは
- 電力と仕事
- 効率は(出力)/(入力)
- 1cal=4.18J
今回ご紹介した方法を実践することで、あなたが1回で電気工事士1種に合格できるように応援している!
関連問題
・H27年問12(電熱器の発生熱量)
・H21年問12(電熱器の熱量と効率)