高圧受電設備は主遮断装置に使う開閉器によって、CB形か PF-S形に分けられる。
このうち、PF-S形受電設備は受電容量が小さい設備向けで、主遮断装置に高圧交流負荷開閉器 LBS に高圧限流ヒューズ PF を組合せた機器を使った受電設備。
10年で 5回出題の合格必須項目!
重要ポイントは3つ。
- ストライカ引き外し機構
- 絶縁バリア層
- CB形とPF-S形の設備容量境界
なお、この解説記事は PF-S形受電設備に関連した内容だけを記している。あなたが合格するためには、別記事で解説している PF付LBS もきちんとマスターすることをお薦めする。
PF-S形の試験対策
- ストライカ引き外し機構
- 絶縁バリア層
- CB形とPF-S形の設備容量境界
ストライカ引き外し機構
PF付LBSに過電流が流れると、流れた相の PFが飛ぶ(溶断する)。このとき、残り2相はつながったままなので、電流は流れ続ける。
この状態を欠相運転と呼ぶのだが、これは少々厄介というか、好ましくない状況。例えば、三相モータを欠相運転すると、動くけど、通常通りに動くはずはないことは容易に想像できるだろう。
そこで、1相が切れたら、残り2相も遮断するために、PFが溶断すると溶断表示棒がPFから飛び出して、残り2相も遮断する。これがストライカ引き外し機構。
写真〇印の PF底面に見えるのが溶断表示棒の先っぽ(写真は H25年問23の問題文)。
そして、それを受け止めるような位置にあるのがストライカ引き外し機構の一部。
下図がコイル仕掛けのストライカ引き外し機構。溶断表示棒の先端は電気的接点の役目で、コイルを動作させる(どれがどれやら分からないとは思うが…)。
この溶断表示棒、ストライカは頻出事項なので、ここで一緒に理解を。
過去問の解き方(H25年問23)
写真の矢印で示す部分の役割は。
<解答の選択肢>
- 過大電流が流れたとき、開閉器が開かないようにロックする
- ヒューズが溶断したとき、連動して開閉器を開放する
- 開閉器の開閉操作のとき、ヒューズが脱落するのを防止する
- ヒューズを装着するとき、正規の取付位置からずれないようにする
解き方
写真の開閉器は 高圧限流ヒューズ付負荷開閉器 PF付LBS。 拡大写真に写っている PF底面のポッチが溶断表示器。
溶断表示器は、ヒューズが溶断したときに飛び出してストライカの受け皿(?)を押す。受け皿を押されたストライカは、まだ回路(接点)がつながったままの2相が欠相運転とならないように、3相全部の接点を開放する。
と、こんな感じで頭を働かせ、役割として正しいのは、2の「ヒューズが溶断したとき、連動して開閉器を開放する」を選ぶ。
→ 過去問
・H25年問23(ストライカの機能)
・H21年問23(PF付LBSのストライカ外し)
絶縁バリア層
絶縁バリア層は、PFが溶断したときに発生したアークが他の相に影響を与えないように、バリアするもの。
下図はどちらも同じPF付LBS(三菱電機製)。左がバリア層なし。右で、黄色い板のようなものが絶縁バリア層。
過去問の解き方(H27年問33)
この絶縁バリア層については、絶縁バリア層そのものについての質問ではなく、主遮断装置として PF付LBSを使うときの装置構成について問われる。
(H27年問33)
④に示す PF-S形の主遮断装置として、必要でないものは
<解答の選択肢>
- 過電流ロック機能
- ストライカによる引外し装置
- 相関、側面の絶縁バリア
- 高圧限流ヒューズ
解答の仕方
まず、PF-S形の主遮断装置は PF付LBSだから、選択肢4の限流ヒューズ PF は必須。
そして、PF付LBSを主遮断装置に使用するときの特別仕様は、
・ストライカ引き外し機構
・絶縁バリア層
だから、選択肢2と3も必要。
というわけで、PF-S形の主遮断装置に必要でないものは、1の「過電流ロック機構」。
ちなみに、この過電流ロック機構、PASに使う LBSには必須の機能。PAS/UGSの記事で十分理解を。
→ 過去問
・2019年問32(PF-S形の構成機器)
・H27年問33(PF-S形の構成機器)
・H21年問31(PF-S形の構成機器)
CB形とPF-S形の設備容量境界
高圧受電設備の主遮断装置には CBか PF付LBS のいずれかを用いるわけだが、PF付きLBSを使えるか、CBを使わなければならないかの境界は、
キュービクル式受電設備では 300 KV・A。
電工1筆記試験ではこの数値だけ理解しておけば良い(電験3種取るなら、もっと詳しく正確に)。
—過去問の解き方—
(H23年問32改(LBSの設備容量))
キュービクル式高電圧受電盤内の主遮断装置に、限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器を使用できる設備容量の最大値は。
答え
キュービクル式受電設備において、PF付LBSを主遮断装置に使用できる設備容量の最大値は 300[kV・A]。
まとめ
PF-S形受電設備は超重要なので確実に正答できるように。
PF-S形受電設備は、主遮断装置に CB ではなく、PF付LBS を使った受電設備。
PF-S形 の重要ポイントは
- ストライカ引き外し機構
- 絶縁バリア層
- CB形とPF・S形の境界
重要ポイントをマスターすることで、あなたが1回で電気工事士1種に合格できるように応援している!
関連問題
・R3年午後-問32(PF-S形の設備容量)
・2019年問32(PF-S形の構成機器)
・H27年問33(PF-S形の構成機器)
・H25年問23(PF付LBSのストライカ外し)
・H23年問32(LBSの設備容量)
・H21年問23(PF付LBSのストライカ外し)
・H21年問31(PF-S形の構成機器)
PF付LBSに関連した問題
・H29年問47(負荷開閉器の種類)
・H24年問45(負荷開閉器の種類)
・H23年問43(負荷開閉器の種類)