【電気工事士1種】自己保持回路は電動機の運転や電気機器の制御に必須のシーケンス回路

電動機の起動・停止になくてはならないシーケンス回路。数あるシーケンス回路のうち、電工1でトレーニングが必要なのが

  1. 自己保持回路
  2. インターロック回路
  3. 起動・停止回路
  4. スター・デルタ回路
  5. 正転・逆転回路

この記事では自己保持回路の原理について説明する。この原理は制御回路の基本中の基本、この回路の原理が理解できれば、その他の回路は容易に理解できる。なので、覚えるだけでなく、充分納得して欲しい。

あと筆記試験には直接関係ないが、あなたが電気工事士としてだけでなく、電気・電子回路の設計者も視野に入れているのであれば、「なぜ」についても理解しておくと非常に役立つ。この「なぜ」について、別記事(作成中)で詳しく解説する。「なぜ」についてもぜひ納得して欲しい。

自己保持回路の原理

基本構成

下図に自己保持回路の基本構成を示す。

必須部品は

  1. モーメンタリ型(自動復帰型)のスイッチ SW
  2. 電磁リレー MC

の2つ。

この回路を言葉で説明すると、

  • SWに直列に MC のコイルが接続
  • SWと MCのスイッチ部が並列接続。この SWと MCのスイッチとは OR回路を形成

これが基本回路。

次に、自己保持回路の動作について説明しよう。

1.SWを操作

まず最初の操作は、SWをONすること。

2.MCのコイルが起動

すると、MCのコイルの両端に電圧がかかるから、MCのコイルが起動する。

3.MCのスイッチ部(コンタクト部)がON

すると、MCのスイッチ部分は a接点なので、スイッチ ON する。

4.SWを離しても

この状態から、SWを離すと自動復帰して SWは切れる(OFFになる)。しかし、SWとOR回路を形成しているMCのスイッチは ON状態なので、MCのコイル両端には電圧がかかったまま保持される。

つまり、SW を OFF しても、回路の ON 状態は維持される。これが自己保持回路の動作原理である。

納得できただろうか?

自己保持回路をOFFするには

自己保持回路の基本構成は上の図で示した回路なのだが、困った(?)ことに、この回路だと、一度 ON するとずっと ON しっぱなし。電源そのものを落とさない限りOFFできない。これでは不便だ。

というわけで、実際の回路では、OFFする機能を付けている。それが

b接点(ブレーク接点)

いわゆる、操作したら(動作したら)「切れる」スイッチ。具体的には、こんな感じで b接点SW (b-SW) が回路に組み込まれている。

b接点スイッチを操作すると

今は保持回路は ON 状態。そこから b-SW を操作(押す)と

MCコイルが停止

b-SWが切れるので、上部電源ラインからの電圧が MC のコイルに供給されなくなり、コイル停止。

MCのスイッチ OFF

MC のスイッチ部も切れる。

自己保持回路が OFF状態

そうすると、b-SW の操作を止める(手を離し)ても、OR回路の SW も MCのスイッチ部の両方が OFF なので、MC のコイルには電圧はかからず、自己保持回路は OFF状態を維持する。

実際の回路では

さて、自己保持回路の基本構成で動作を説明したので、「動作の理屈は分かったけど、この回路、何の役に立つの?」と思ったかもしれない。これは当然であり、この基本回路だけでは何の役にも立たない。

実際には、MCのスイッチ部を自己保持に使うだけでなく、電動機を ON/OFF することができる。

まとめ

自己保持回路の原理は制御回路の基本中の基本。この回路の原理が理解できれば、その他の回路は容易に理解できる。なので、覚えるだけでなく、充分納得して欲しい。

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  1. 自己保持回路(この記事)
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  5. 正転・逆転回路
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