本日(2020年12月20日)、電工1種の技能試験を受けてきた。
そして、試験問題を42分で完成することができたので、この1カ月間の技能試験対策は正しかったと思っている。
しかし、試験前日には不安を感じ、本番中に「あれ、やっとけば…」と思ったのも事実である。
そこで、次回(令和3年度)に受験をする予定のあなたのために、市販テキストやyoutube動画では語られていない経験者による合格へ重要ポイントを3つお伝えする。それは、
- 本番の電線で1度は練習をしておく
- 練習中の疑問・反省は必ず解決しておく
- チェック内容&手順を決めておく
この記事があなたの技能試験合格のお役に立てば幸いである。
技能試験合格への重要ポイント
- 本番の電線で1度は練習をしておく
- 練習中の疑問・反省は必ず解決しておく
- チェック内容&手順を決めておく
本番の電線で1度は練習を
電材セットの購入は必ず検討すべき
まず最初に。
もしあなたが、amazonや電気書院などが販売している技能試験用電材セットを購入しようか迷っているならば、絶対に買ったほうが良い!
そう断言する。
迷っていない場合でも、必ず丸型ケーブルは入手すること。
試験前日には不安になる
というのも、本番と同じ電線を切断したり被覆を剥いたことがないと、試験日が近づくにつれ、「60分以内に作業を完了することができるか?」と急に不安になるから。
今年の自分の手元には去年から持ち越ししているVVFケーブルがあった。また他のケーブル・電線についても電材セットに含まれているほどの長さは不要と考えた。このため、
- ホームセンターで必要分だけ購入
- 購入できないのは代替品でカバー
すれば良いと判断した。
そこで、練習した 1カ月はホームセンターで購入できる
- VVFケーブル
- VCT(ビニルキャプタイヤ)ケーブル
- IV線 (単心、8sq (8mm2) の”7本より線”、 “細かい”より線タイプ)
の各電線で練習した。
KIP電線や、VVR・CVVケーブルなど、いわゆる丸形電線は、8sq の IV線や、VCTケーブルを代替電線として使った。
KIPは、去年の技能試験で初作業だったにもかかわらず苦になった記憶がないし、YouTubeで紹介されているVVF用ワイヤストリッパを使う方法を見ても簡単そうだったので、とりあえずは心配してなかった。
一方、丸型ケーブルの代用であるVCTも、VVF用ワイヤストリッパを使って、絶縁被覆に傷を入れずに外装シースを剥けるように繰り返し練習し、心線が見えるほどの傷を付けずに剥くことができるようにはなった。さらに、本番で使うVVR、CVVは、外装シースは薄いし、絶縁電線を介在物が覆っているため、VCTよりも傷がつきにくいから、VCTができるようになれば問題なかろう、と。
こんな感じで練習。
しかし、だ。1度も作業していなかったため、前日に急に不安になった。
「代用電線では各問題を60分以内で作製できるようになった。でも本物のVVR、CVVで想定以上に手間がかかったりしたら?大丈夫かなぁ…候補問題1は今でも 55分くらいかかるし、やっぱ、一回は本物を切っておきたいなぁ…」
結局、このプレッシャーを克服することができず、試験前日の土曜日の昼から、「以前探して見つからなかったけど、ひょっとしたら?」と一縷の望みに託してホームセンター2カ所に行ってみた (で、やっぱり無かった)。
だから、試験会場へ向かう電車の中では「丸型ケーブル出るなよ!」と念じたものだ。
結果として、丸型ケーブルを使用する問題は出題されなかったから良かったが、もし試験問題表紙の材料一覧表に丸形ケーブルが記載されていたら、試験開始まで落ち着いてはいられなかったと思う。
というわけで、電材セットを購入するか、購入しない場合は切れ端でも良いので、
- KIP電線
- VVRケーブル
- CVVケーブル
電線は入手して、実際に外装を剥く経験をしておいたほうが良い。
丸形ケーブルは入手困難
KIP電線や、VVR・CVVケーブルなど、いわゆる丸形電線は、普通のホームセンターで売ってないことが多く、電気工事関係者でもない限り、普通の受験者では簡単には入手できない。
もちろんネットならば購入できるのだが、購入できるのはモノタロウやミスミなどの事業者向け・技術者向けのサイトであり、amazon、楽天などの一般的なサイトでは試験に使うのと同じ電材は入手できない。
だから、1回で合格したいならば、電材セットを購入すること強くお勧めする。
練習中の疑問・反省は必ず解決
練習を繰り返していると、苦手な部分が見えてきたり、作製途中に疑問・不安が出てくる。
それらは、本番前までに必ず解決しておくこと。
解決しておかないと、本番でも同じ苦手意識、疑問・不安がよぎることになる。
実例だが、今年度の本番問題は練習で50分を切ることのできた、自分にとってはありがたい問題であり、実際、本番でも 42分という短時間で作製することができた。
ただ、1点、やり直した部分がある。それは、
・片切スイッチ-3路スイッチの渡り線の色
そして、実はこの箇所、練習中にも全く同じことで悩んでいた箇所なのだ。
本番中の無意識作業と疑問
本番で複線図を描いたときには、片切スイッチ-3路スイッチ間に渡す電線の色をB(黒)と書きこんだ。しかし、実際に組み立てているときは、なぜか赤線を渡り線として取り付けた。
しかし、3Cケーブルの赤電線が3路スイッチに挿し込まれて、すぐ隣の別端子から赤渡り線で片切ススイッチに戻っているのを見て、「あれ?ここ、赤、赤でいいんだっけ?」と疑問が浮かんだ。
このため、問題用紙に色指定が無いか確認し、複線図を見て、電線をBと書いていたから、赤色渡り線をスイッチから抜き取り、黒電線でやり直した。これで1分半くらいのロス。
同じ疑問が湧く
結果として、問題文に色指定がなかったから、赤でも黒でも、もっと言えば白電線でも良かったわけだが、ここで非常に興味深い点がある。それは、
- 練習中に全く同じ疑問を持っていた点
- そして、その問題点を解決していなかった、という点
15日に「令和2年度候補問題2は2回とも49分台」という記事をアップしているのだが、「分析と改善点」の「連用枠」に写真付きで次のように文章を書いている。
(以下、引用)
この問題では、渡り線には色指定がなく、どの色でも良いのだが、逆にどれにしよう?と躊躇して、かえって時間がかかっている。
指定がないのだから、すぐ作業。
練習のときには
- (渡り線に)色指定がない。何色使おう?と悩み
- 赤色電線を使用
で、本番のときには、
- 複線図には黒指定したにも関わらず
- 手を動かす結線作業では赤電線を使った
- そして「赤でいいんだっけ?」と悩む
つまり、練習中とまったく同じ状況を、ほとんど誤差もなく無意識的に再現してしまっていたのである。
悩んだら具体的な作業手順を決める
もう一度、全体をまとめてみよう。
- 練習&反省で、「色指定がないのだから、何色かでは悩まずすぐ作業」とは考えた
- しかし、色指定がなかったときの使用する電線の色を決めておかなかった
- だから、本番でも「何色を使えば?」という同じ疑問が頭をよぎった
だから、練習&反省でこの疑問が生じたときには、「指定がないのだから、すぐ作業」ではなく、「問題文で色指定がなかったら、○色電線で渡る」と、色を決めておくことが正解であった。
今回の教訓は、人間というやつは、同じことを繰り返す。特に集中して作業しているときには、びっくりするくらい。
だから、あなたも、練習中に生じた疑問は、必ず解決し、具体的な作業手順に反映させておいてほしい。
チェック内容&手順
2種試験日の3日程前に、2種受験の学生さん2名がそれぞれ作製した作品をチェックした。
そのとき、1人は3路スイッチ、両切りスイッチの端子のことを誤解しており、結線の欠陥に全く気付いていなかった。もう1人は引掛けシーリングの欠陥の一つを認識していなかった。
もし、それらの欠陥を知らないまま試験に臨み、該当する機器が出題されていれば不合格になったはずである。
これからも分かるように、自分自身で欠陥がないかチェックできるように、欠陥の種類と、効率よく短時間でミスを発見できる手順を決めておいたほうが良い。
欠陥の種類
欠陥の種類は、電気工事士の試験を主催している電気技術者試験センターのHP「欠陥の判断基準等」でPDFファイルがダウンロードできる。
また、技能試験の市販テキスト4冊にはすべて、欠陥例が写真付きで記載されている。これを見れば、何が欠陥かを理解することができる。
これら4冊の中で、電気書院「攻略手順」には、それぞれの候補問題について、左ページにチェック項目の一覧表が、右ページには具体的な写真が掲載されている。これに従って欠陥がないかをチェックしていけば、欠陥を防げるだろう。
チェック手順
チェックする順番、これはその人の好みに合う「流れ」に従うのが最もミスがないと思うので、自分流の順番を作るのが良いとは思っている。
もし「思いつかない」という人には、次の順番を試してみて、それから自分流に調整することをお薦めする。
- 複線図
- 各機器・装置 (順番は、左・上を先に、右・下を後に)
- リングスリーブ部
- 差込型コネクタ部
慣れてしまえば、1分~1分半でチェックできるようになり、欠陥ともおさらばできる。
まとめ
今年度の技能試験の練習&本番から痛感した、来年度の技能試験に合格するために重要な3つのポイントをまとめてみた。
- 本番の電線で1度は練習をしておく
- 練習中の疑問・反省は必ず解決しておく
- チェック内容&手順を決めておく
私の体験が、あなたの技能試験合格のお役に立てば幸いである。