計器用変圧器 VT も超重要機器。引掛け問題も含めると、13年間で 15回出題されている。D種接地工事も含めるとさらに出題数は多くなる。
合格には必須機器なので、確実にマスターを。
試験対策でマスター必須なのは、以下の4ポイント。
- 単線図/複線図
- 名称・外観
- 用途、役割
- VT手前のPF役割
まずは確実にこの4ポイントを押さえよう。
計器用変圧器VT の試験対策
試験対策でマスター必須なのは、以下の4ポイント。
- 単線図/複線図
- 名称・外観
- 用途、役割
- VT手前のPF役割
この他に、必須事項をマスターした後の合格安全圏狙いとして、
・定格容量
なお、D種接地工事もマスター必須項目なのだが、接地工事は単線図でまとめて体得するのが合格への近道なので、この記事では接地工事には深く触れない。
単線図/複線図、台数、PF本数
VTは PAS内、VCT内部にも含まれるが、試験で出題されるのは、高圧受電設備単線図の上から3番目「電験取得者が点検」するグループ。この部分の単線図は以下の通り。
試験でセットで出題されるPF+VT部分の複線図は以下の通り。
図から分かるように、三相(R相、S相、T相)電路の電圧を計測するために、VT 2台を V-V結線して使用する。
そして、VT 一次側には PF(限流ヒューズ)を VT 1台につき 2本、計 4本接続する。
で、この VT 1台につき PF 2本を接続しやすいように、VT と PF は一体型、こんな感じで(H29年問22)。
→ 過去問
・R3年午後-問44(PFの本数)
・H30年問44(VTの台数)
・H26年問47(PFの本数)
・H21年問48(PFの本数)
名称・外観
VT は Voltage Transformer、日本語名は計器用変圧器。
外観は、複線図のところでも示したが、変圧器部分の上部に高圧限流ヒューズ PF が 2本付いている。
試験問題では VTの写真を載せて用途を答えるか、機器を選ばせるときの引掛けに使われる。
引掛けの例はこんな感じ。H28年問48 では、VCT(選択肢イ) を選ばせる選択肢に VT(選択肢ロ) が仕込んである。
→ 過去問
・H29年問22(VTの外観と用途)
・H28年問48(VCTの外観; VTで引掛け)
・H22年問22(VTの外観と用途)
機能・役割
VTの機能は、名前の通り電圧変換。
高圧電路 6,600V を定格二次電圧 110V に降圧し、電圧計・電力計といった計測器に電圧(信号)を送ったり、保護継電器の動作電源として電力を供給する。
→ 過去問
・R2年問47(VTの定格電圧)
・H29年問22(VTの用途)
・H28年問23(直列リアクトルの機能; VTを引掛けに)
・H25年問22(CTの用途; VTを引掛けに)
・H23年問42(VT定格電圧)
・H22年問22(VTの用途)
・H22年問31(VT総合問題)
VT手前のPFの役割
複線図や外観のところでお伝えしたが、VT の電源側には、十分な定格遮断電流をもつ限流ヒューズを取り付ける。
これは、高圧から VTを守るのではなく、VTのトラブル(特に短絡事故)が高圧電路に悪影響を及ぼさないようにするのが目的。
二次側短絡厳禁
あなたは、変圧器の二次側に接続している電圧計や継電器を外すとき、絶対に変圧器二次側を短絡してはいけないことは理解しているだろうか?
これは、二次側を短絡すると大電流が流れ、電圧計や継電器が破壊される危険性があるから。
そして、二次側に大電流が流れるならば、変圧器一次側にもなんらかの悪現象(予想外の電圧・電流発生)が生じる。
この悪現象が高圧電路に悪影響を及ぼさないように、高圧電路と変圧器の間に高圧限流ヒューズ PFを接続する。
二次側短絡が厳禁は、筆記試験のためというより、あなたの今後の仕事に超重要なので、きっちり理解を。
→ 過去問
・H27年問43(PFの役割)
・H22年問44(PFの用途)
D種接地工事
複線図に描かれているように、VT 二次側に D種接地工事を施すのは重要事項。
た、だ、し、接地工事は単線図で丸暗記して、各機器では覚えないことが、合格への秘訣(電験3種学習時の体験から)。
必ず単線図に接地工事を書き込んで記憶、理解すべし。
定格容量(合格安全圏狙い)
定格電圧・定格負担
— VTの仕様 —
ここで、富士電機テクニカのHPに掲載された VT の銘板を見てみよう(高電圧用の VT銘板は見つからなかったので、画像は低圧 220V用。あしからずご了承を)。
右側に書かれた文字を銘板右側に書き出してみた。上から順に
・SEC VOLT 110V :定格二次電圧 [V]
・BURDEN 50 VA:定格負担 [VA]
・FREQ 50・60 Hz:定格周波数 [Hz]
ここで注目してもらいたいのが赤字の BURDEN:定格負担 で、これは、
性能が保証できる範囲で、二次側端子間に接続できる負荷の容量
ちなみに BURDEN という英単語は「荷物、負担、積載量」という意味。そこから、VTの世界では定格負担という単語が
そして、その容量が 50 VA。
— 定格負担 50 VA —
容量 50 VA ということは、定格二次電圧が 110V だから、この VT から電流を安心・安全に取り出すには MAXで 0.5A弱が限界。
このシリーズだと、50VAの他に 15VA、100VA の VT があるが、最大でも 1A を取り出せるレベルである。
一方、所内用の照明器具の消費電力は、蛍光灯で 20W程度、電球だと 40-100W 程度。
50VA の場合、蛍光灯 2台まで、40W電球なら1器までなら大丈夫そうだが、これはあくまで全電力を照明に使った場合。
高圧受電設備の単線図を見ると、VT の下流には電圧計、電力計、力率計、運転確認用ランプなどがある。
計測器の入力インピーダンスは極めて高いから、流れ込む電流は微々たるものだが、ランプだと数十W はみといたほうがいい。
こんな感じだから、正規の使い方以外に、所内電灯の電源として使うには、容量が非常に心もとない。
というわけで、VTを所内の照明電源に使用することは不適切。
→ 過去問
・R2年問47(VTの定格電圧)
・H30年問32(VT定格負担)
・H22年問31(VT総合問題)
まとめ
計器用変圧器 VT も超重要機器。合格には必須機器なので、確実にマスターを。
試験対策でマスター必須なのは、以下の4ポイント。
- 単線図/複線図
- 名称・外観
- 用途、役割
- VT手前のPF役割
まずは確実にこの4ポイントを押さえよう。
あなたが1回で電気工事士1種に合格できるように応援している!
関連問題
・R3年午後-問44(PFの本数)
・R2年問47(VTの定格電圧)
・H30年問32(VT定格負担)
・H30年問44(VTの台数)
・H29年問22(VTの外観と用途)
・H28年問23(直列リアクトルの機能; VTを引掛けに)
・H28年問48(VCTの外観; VTで引掛け)
・H27年問43(PFの役割)
・H26年問47(PFの本数)
・H25年問22(CTの用途; VTを引掛けに)
・H23年問42(VT定格電圧)
・H22年問22(VTの外観と用途)
・H22年問31(VT総合問題)
・H22年問44(PFの用途)
・H21年問48(PFの本数)