問題 <H30年問8>
図のように、電源は線間電圧が V S の三相電源で、三相負荷は端子電圧 V 、電流 I 、消費電力 P 、力率 cosθ で、1相当たりのインピーダンスが Z の Y結線の負荷である。また、配電線路は電線 1線当たりの抵抗が r で、配電線路の電力損失が P L である。この電路で成立する式として、誤っているものは。
ただし、配電線路の抵抗 r は負荷インピーダンス Z に比べて十分小さいものとし、配電線路のリアクタンスは無視する。
— 答え —
誤っているのは、配電線路の電力損失 P L。
【出典:平成30年度第一種電気工事士筆記試験問8】
解法と解説
方針
配電路の電圧降下・電力損失の複合問題で戸惑うかもしれないが、焦らず選択肢の値 (式) を一つずつ求めていければ、なんてことない問題。
解法はいつもの通り、
- 負荷側の電圧・電流・力率を求める
- 配電路の電圧降下・電力損失を求める
ふくラボ流攻略法
線電流
負荷が Y 結線なので、1相分の負荷にかかる電圧は ( V/√3 )。
この 1相分だけ回路を取り出すと、
この回路に流れる電流 I 1 は、
負荷が Y結線の場合、線電流 I と 1相分の相電流 I 1 は等しい。
したがって、選択肢 ハ の電流は正しい。
力率
次、三相負荷は Y結線だが、細かいことは気にせず、配線図を次のように書き直す。
三相負荷における、定格電圧 V [V]、定格電流 I [A]、消費電力 P [W]、力率 cos θ の関係から、
選択肢 ロ の力率は正しい。
電力損失
次は配電線路側に注目。
電流が流れて電力損失が生じる配電電線路は 3か所で、抵抗は r Ω。
よって、求める電力損失 P L は、
ということは、選択肢 イ の配電線路の電力損失が誤り。
電圧降下
配電線路における電圧降下は、公式をそのまま書き出す。
三相 3線式配電線路の電圧降下は、
問題文から、電路のリアクタンス x は無視するから、
選択肢 ニ:電圧降下は正しい。
まとめ
配電路の電圧降下・電力損失は、出題パターンが限られているため、解法を一度理解・マスターできれば、あとはいただき問題。合格必須項目をマスター後の早めの習得がお勧め。
解法は
- 負荷側の電圧・電流・力率を求める
- 配電路の電圧降下・電力損失を求める
類似問題・関連記事
・R2年問6(単相3線式配電線路の電力損失)
・2019年問6(並列負荷の配電線路電力損失)
・H30年問6(並列負荷の配電線路電力損失)
・H30年問7(単相3線式配電線路の電力損失)
・H30年問8(三相3線式配電線路の電力損失)
・H29年問7(三相3線式配電線路の電力損失)
・H29年問8(並列負荷の配電線路電力損失)
・H28年問6(単相3線式配電線路の電力損失)
・H26年問6(三相3線式配電線路の電力損失)
・H25年問6(単相3線式配電線路の電力損失)
・H25年問7(三相3線式配電線路の電力損失)
・H24年問6(並列負荷の配電線路電力損失)
・H22年問7(単相2線式/3線式配電線路の電力損失)
・H22年問8(三相3線式配電線路の電力損失)
・配電線路の電力損失の解説
次なる訓練問題
・前の問題(問7)
・次の問題(問9)
・H30年度(2018年度)問題