架空送電線路の損傷を防ぐために使用される装置・部品は、2年に1度以上で出題される重要問題。
出題は2つにパターン化されている。
- ○○の働き(機能)は
- △害対策は
これに答えるには、
- 4つの主要部品の名称と働き
- 3つの対策
を押さえるのが合格への近道。
架空送電線路の主要部品と損傷対策
4つの主要部品は
- アーマロッド
- ダンパ
- スペーサ
- アークホーン
- がいし
3つの損傷対策は
- 振動・揺れ対策
- 雷害対策
- 塩害対策
振動・揺れ対策
風による振動、雪によるたわみで電線が切れたり、電線に流れる電流による電線同士の引き付けあい(電磁的吸引力)で電線同士が接触したり、放電が生じたりする恐れがある。
これら振動・揺れから電線を守る対策として用いられる主要部品は3つ。
- アーマロッド
- ダンパ
- スペーサ
これら3つの部品は直接電線に取り付けるのが特徴。
アーマロッド:
電線と同種の金属を電線に巻き付けて補強し、電線の振動による素線切れなどを防止する
ダンパ
電線におもりとして取り付け、微風により生じる電線の振動を吸収し、電線の損傷などを防止する。
スペーサ:
多導体に使用する間隔材で、強風による電線相互の接近・接触や負荷電流、事故電流による電磁吸引から素線の損傷を防止する
雷害対策
鉄塔や電柱に電線を設置するとき、絶縁にはがいしをつかう。このがいしに落雷が直撃したり、異常電圧が発生したりすると、がいし表面で火花放電(フラッシオーバー)が起こり、その熱でがいしが損傷・破壊したりする。
それを保護するのがアークホーン。
がいしの両端に設け、がいしに異常電圧が発生する状況ではアークホーン間でアーク放電を起こし、がいしや電線を保護する。
塩害対策
がいしの表面にほこりや汚れ、塩分などが付着すると、表面に電流が流れやすくなり、放電が発生しやすくなる。放電が起こると、さっきも触れたが、熱でがいし温度が急激に上昇し、がいしが損傷を起こす危険性がある。
このため、がいし部分に以下のような対策を施す。
シリコンコンパウンド:
がいし表面に撥水性に優れたシリコンコンパウンドなどを塗布し、水をはじき、電流を流れにくくする。
沿面距離:
がいしの連結段数を増やしたり、表面距離の長いがいしを使うなどして、沿面距離を長くする。
洗浄装置:
洗浄装置を施設して、がいし表面を洗浄する。
過去問
パターン1:○○の働き(機能)は
架空送電線路に使用されるダンパの記述として、正しいものは。(H29年問17(ダンパ))
<解答の選択肢>
- がいしの両端に設け、がいしや電線を雷の異常電圧から保護する
- 電線と同種の金属を電線に巻き付けて補強し、電線の振動による素線切れなどを防止する
- 電線におもりとして取り付け、微風により生じる電線の振動を吸収し、電線の損傷などを防止する
- 多導体に使用する間隔材で、強風による電線相互の接近・接触や負荷電流、事故電流による電磁吸引から素線の損傷を防止する
このパターンは、選択肢がそれぞれどの部品を表しているかを判断する。
1:アークホーン
2:アーマロッド
3:ダンパ
4:スペーサ
このタイプの過去問
・2019年問19(アークホーン)
・H29年問17(ダンパ)
・H26問17(アーマロッド)
・H22問17(アークホーン)
パターン2:△害対策は
架空送電線の雷害対策として、適切なものは。(H28問18(雷害対策))
<解答の選択肢>
- がいしにアークホーンをつける
- がいしの洗浄装置を施設する
- 電線にダンパを取り付ける
- がいし表面にシリコンコンパウンドを塗布する
このパターンは部品名称と働きが示されていて、その中で雷害対策/塩害対策として最も有効なものは?と問う。
このタイプの過去問
・R2年問18(塩害対策)
・H28問18(雷害対策)
・H24問19(塩害対策)
・H21問17(雷害対策)
まとめ
架空送電線路を守る装置・部品に関する問題は2つにパターン化。
- ○○の働き(機能)は
- △害対策は
これに答えるには、
- 4つの主要部品の名称と働き
- 3つの対策
を押さえるのが合格への近道。
今回ご紹介した方法を実践することで、あなたが1回で電気工事士1種に合格できるように応援している!
関連問題
・R2年問18(塩害対策)
・2019年問19(アークホーン)
・H29年問17(ダンパ)
・H28問18(雷害対策)
・H26問17(アーマロッド)
・H24問19(塩害対策)
・H22問17(アークホーン)
・H21問17(雷害対策)